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概論





韓国にクレヨンしんちゃんが紹介されたのは1997年のことだそうです。訂正します。韓国では1997年以前より、クレヨンしんちゃんは紹介されていたようです。申し訳ありませんでした。それ以来、韓国では大きな人気を博してきました(参照→http://nori007.sugoihp.com/collection/sin.html)。韓国では『春川アニメ映画祭』で人気賞を受賞しているようですし。

実際、私が以前韓国に行った時も、クレヨンしんちゃんの人気ぶりを知らされました。クレヨンしんちゃんのテレビアニメ(もちろん韓国語の吹き替え)を2日間で3回も見る機会に恵まれたくらいです。ちなみに、上記のページにも収録されている「しんちゃんマスコット」は私も韓国で買い、今も持っています(「体を押すと目んたまが飛び出て「う●こ」もプリリッ」のとは別物です。念のため)。なんと、ホテルの免税店にも、クレヨンしんちゃんのぬいぐるみが販売されていました(こちらは買いませんでしたが)。

ただし、韓国におけるクレヨンしんちゃんは、2つの特殊な側面がありますが、これらに関しては1999年当時の状況であり、2009年の時点では状況がいくらか変化しているようです。この変化については後述します。

まず1つ目から。
韓国では、1987年に著作権条約に加盟するまで、日本の漫画の海賊版が広く流通していました。そもそも韓国では、1960年代の頃から漫画が読まれだしたようですが、それらの漫画は日本のものの海賊版でした。「鉄腕アトム」、「巨人の星」、「タイガーマスク」などです。一方で、韓国は一際反日感情の強い国でもあったため、そこを考慮してか、これらの作品は日本ではなく、韓国の作品であるかのように発表されていました。従って、登場人物が日本人なら韓国人に、舞台が日本なら韓国に設定変更されていました。昔、日本に留学した韓国の学生が「なぜ日本に鉄腕アトムがあるのか」と驚いた、という笑い話もあるくらいです。

現在の韓国でも海賊版は流通しているようですが,こういった作品が日本のものである事を知らない人は少なくなっています。しかし、このような「慣例」は、正式契約によって取り入れるようになった現在でも存在するようです。もうお分かりでしょうか。クレヨンしんちゃんもまた、登場人物が韓国人、舞台が韓国(ソウル)に設定変更されているのです。

ですから、日本語で書かれている場面は、全て韓国語に書き換えられ、明らかに日本だとわかる場面は、削除、修正がされています。
それは徹底しており、例えば私は現在、韓国語版の原作漫画を10巻と22巻を持っていますが、10巻に収録されている北海道旅行の話は、済州島(玄界灘西部に位置する、韓国領の島)旅行に変わっています。

さて、韓国版クレヨンしんちゃんのタイトルは「チャングヌンモッマルリョ」、日本語に訳せば「チャングは止められない」という意味です(なお、「チャングヌンモンマルリョ」という表記も可能です。詳細はこちらのページをご覧ください)。以下がそのハングルでの表記となります。

짱구는 못말려

チャングとは、主人公野原しんのすけの韓国名、シン・チャングのことです。ただ、チャングとは「いたずらっ子」という意味が含まれているそうです。従って、「いたずらっ子は止められない」とも訳せます。
それにしても、なかなか上手い訳し方だとは思いませんでしょうか。いかにもクレヨンしんちゃんの本質をついているようで。

それでは、主要登場人物の韓国名を、私が分かっている範囲で挙げておきます。なお,かすかべ防衛隊の4人に関しては,下の名前のみ判明しています。

日本 韓国
野原しんのすけ 신짱구(シン・チャング)
野原みさえ 유영런(ユ・ヨンラン)※1
野原ひろし 신우석(シヌソク)※2
野原ひまわり 신짱아(シン・チャンア)
シロ 흰둥이(ヒンドゥンイ)
よしながみどり 유현주(ユ・ヒョンジュ)
まつざか梅 김미정(キム・ミジョン)
風間トオル 철수(チョルス)
桜田ネネ 유리(ユリ)
マサオ君 훈이(フニ)※3
ボーちゃん 맨구 (メング)

※1 韓国では夫婦別姓のため,シンの苗字にはならない。日本版では旧姓の「小山」と名乗り続けていることと該当する。
※2 日本式の発音ならば、シン・ウソクとなるが、韓国語の発音の原則で、連音が働きシヌソクと発音する。
※3 日本式の発音ならば、フンイとなるが、シヌソクと同様、韓国語の発音の原則で、連音が働きフニと発音する。

ちなみに、もうお分かりでしょうが、私のハンドルネームのチョルスとは、風間君の韓国名からとってあるのです(なぜここからとったかは、チョルスという名の由来を)。

さて、かすかべ防衛隊ですが、舞台が韓国である以上、直訳している訳がありません。「幼稚園防衛隊」(유치원 방위대/ユチウォン パンウィデ)となっています(「ブタのヒヅメ」の韓国版より)。

ぶりぶりざえもんについても挙げておきます。テレビアニメ版で、一度だけぶりぶりざえもんの絵をしんちゃんが描いている場面を見かけ、それによると「ぶりぶりチャング(부리부리 짱구)」なっていました。しかし、「ヘンダーランド」では「ブリブリ魔神(부리부리 마신)」となっており(なお、蛇足ですが、韓国語版の「ブリブリ王国」でも、ブリブリ魔人はブリブリ魔神となっています。詳細は、韓国編2のほうで)、「ブタのヒヅメ」と「温泉わくわく」では日本と同様、「ぶりぶりざえもん」(부리부리 자에몽/プリブリヂャエモン)なっています。実は、こういったことはぶりぶりざえもんに限らず、主人公シン・チャングを除いたほかのキャラクターにも当てはまるのです。

つまり、韓国版における一つの謎なのですが、DVDやVCD(ビデオ型CD)、原作漫画によって登場人物の名前が変わっているという、信じられないことがよくあるのです。韓国のDVDやVCDの製作、発売元は日本のように、それぞれシンエイ動画、バンダイビジュアル1社だけではなく、複数で存在するため、そこに何らかの原因があるのかもしれません。先ほど列挙した名前は、あくまでも代表的だと思われる名前です。

さて、特殊な側面の2つ目です。
その2つ目とは、韓国ではメディアに対する規制が非常に厳しいということです。(日本ほど緩やかな国のほうが、むしろ少数なのかもしれませんが)。

前述したように、私は韓国語版の原作漫画を10巻と22巻を持っていますが、10巻の表紙と裏表紙にシールが貼られています。そのシールに書かれていること(18세 미만 구독 불가)を直訳すると、「18歳未満購読不可」となります。つまり、18禁の成人漫画扱いとなっているのです(22巻にはなぜか貼られていませんが)。日本でも、原作は一応成人向けとなっていますが18禁というわけではありません。

こういうことですから、テレビアニメ版や劇場版では、「過度な」暴力描写や性描写に対して削除、修正がされています。ただし、その基準は曖昧です。一つ例を挙げますと、しんちゃんのぞうさん踊りを正面から見ることは出来ません。大抵、削除されているか、別の映像に変えられています(ただし、後ろ向きなら見られます)。一方ケツだけ星人は見ることが出来ます。しかし、風間君がケツだけ星人をする場面(「風間くんの息抜きだゾ」(日本で1995年2月6日放送)、韓国版のタイトルは「チョルスヤー、今日は遊ぼう(철수야〜오늘은 놀자!)」(「ヤー」は親しい人に対する呼びかけ))は削除されています。風間君がケツだけ星人をやろうする場面から、しんちゃんが風間君がケツだけ星人をやったと、日記に書くシーンに飛んでいます。

なお、この話ではしんちゃんが立ちションをしながら、風間君に話しかける場面がありますが、そこも削除されています。この話は単行本の10巻に収録されていますが、「18歳未満購読不可」のシールが貼られていることに思わずうなずける?

さて、韓国版の特色を他にもいくつか挙げておきます。
DVDやVCD、原作漫画によって登場人物の名前がしばしば変わっていることは前述しましたが、DVDやVCDによって、同じ登場人物の声を当てている声優が変わっていることも、しばしばあります。主人公シン・チャングも例外ではありません。韓国版のDVDやVCDでは、大部分がスタッフやキャスト名が表記されないため、確実なことはいえませんが。

さらに、DVDやVCDのパッケージの作りもいい加減です。私が持っているテレビアニメ版のDVDは、大抵は1992〜95年頃に放送されたものが収録されていますが、パッケージには、話の中ではまだ生まれていないはずのひまわりも描かれていることが多いです。他にも、パッケージやDVDのソフトには、なんと双葉社のオフィシャルサイト内にある壁紙が使われていることも多いのです。

他にも、劇場版のもので、「暗黒タマタマ」のDVD(リージョンコードが違うので見れませんが・・・。ただ、VCDも持っており、そちらは見れます)には、なぜか「温泉わくわく」の宣伝用の場面が描かれていることもあります。

韓国版の単行本の出版社名は株式会社ソウル文化社(주식회사 서울 문화사、値段は10巻は3000ウォン、22巻は3500ウォンと、なぜか異なります(1円=約10ウォン)。なお、韓国版では著者名が“YOSHITO USUI”とローマ字で表記されていて、あたかも日本の漫画ではないような印象を与えます。

10巻の初版発行日は1996年10月18日(日本版は1995年1月9日)、22巻は1999年5月25日(日本版は1999年1月8日)です。

また、韓国版では、しんちゃんは自分の両親にはそれぞれ「父ちゃん」、「母ちゃん」と呼ぶところを「アッパ(아빠)」、「オンマ(엄마)」と呼びます。これは、韓国の子供が両親を呼ぶのによく使われ、「パパ」、「ママ」に相当しますが、「父ちゃん」、「母ちゃん」とも訳せるでしょう。なお、韓国語で「お父さん」、「お母さん」は、それぞれ「アボジ(아버지)」、「オモニ(어머니)」になります。




前述の通り、以上は1999年当時の状況であり、本文を書いている2009年においては状況が異なっているようです。

当サイトの掲示板に書き込まれた、韓国の旅行サイトを運営されているがんもどきさんという方からの情報によると、現在は単行本に「18歳未満購入不可」という規制はかけられていないそうです。韓国で18歳未満購入禁止の漫画は、日本と同じで性的描写の激しい漫画のみということです。

さらに、版権が移ったという経緯があると思われ、現在は単行本を発行している出版社が変わっており、タイトルも「クレヨンしんちゃん」と、日本版をそのまま直訳したものとなっているようです。舞台も日本と同じであり、また登場人物についても全て日本人の名前をそのまま直訳したものとなっているとのことです。

ただし、日本のものを直訳しているのは、あくまでも原作の単行本のみで、テレビアニメやお菓子類は2009年現在も「チャングは止められない」となっているようです。これは、テレビの影響力の大きさを考慮したもののようです。韓国では子供たちに日本のアニメが教育に悪い、もしくは日本の描写が悪影響を与えるという考えが根強いためであると推測されるそうです。

また、値段についても10巻は3000ウォン、22巻は3500ウォンと前述しましたが、がんもどきさんによると、単なる物価上昇に伴い価格改定とのことで、2009年現在では4000ウォン以上となっているとのことです。

貴重な情報を寄せてくださった、がんもどきさんに感謝いたします。



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